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2009年11月25日 (水)

第九とベートーベン

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 芸術家といえども霞を食べて生きていくわけにはいきません。楽聖ベートーベンとて同じでした。残された手紙にお金に関しての記述がたくさん出てきます。

 「七重奏曲二〇ダカット、交響曲二〇ダカット、協奏曲一〇ダカット、独奏大ソナタ二〇ダカット。ソナタ、七重奏曲、交響曲のあいだになんの差別もつけていないのを怪しまれるでしょう。七重奏曲や交響曲は、ソナタほど売れないのを承知しているからです」(小松雄一郎編訳「新編ベートーベンの手紙」岩波文庫から)

 これはライプチヒの楽譜商にあてた手紙ですが、作品を高く買ってもらおうという苦心の様子がうかがえます。また、1824年、有名な交響曲第9番の初演で、ベートーベンは2千グルデンの収入をもくろんでいましたが、実際の手取りは420グルデンで、その不満を秘書シンドラーにぶつけた手紙も残っています。

 では、ベートーベンはお金のために作曲していたのか、そうではありません。「小生はただ金持になるためにだけ書く音楽芸術の投機家になることを人生の目的としておりません。誓って!」(同)ときっぱり言い切っています。

 しかし、ベートーベンの時代から約200年たった現在、「音楽芸術の投機家」がはびこっています。今年の第21回世界文化賞若手芸術家奨励制度に選ばれた室内管弦楽団クレメラータ・バルティカが今月、来日し、「ビーイング・ギドン・クレーメル」と名付けたコンサートを行いました。「深い意味を持ったショーのようなものです。テーマは音楽、人生における音楽の重要性ですが、ユーモアの助けを借りて、今日の音楽業界を批判的に見てみました」と芸術監督のギドン・クレーメル。

 「音楽ビジネスで成功する方法」というコントでは、「とにかくニコニコしている、誰でも知っている曲しか演奏しない、いかにも簡単そうにみせる」と皮肉り、リモコンでCDプレーヤーを操作するように次々と曲を変えて演奏し、音楽が使い捨てされる現状を笑いに包んで警告していました。

 ベートーベンは先の言葉に続けて「小生は独立不羈(ふき)の生活を愛します。それは多少の金がなくてはできません」と書いています。お金と芸術は悩ましい関係です。

 現在発売中の月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」1月号はそんなベートーベンの魅力と交響曲第9番を特集しています。(モーストリー・クラシック編集長 江原和雄)

(産経ニュース、http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/091124/msc0911240737000-n1.htm

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